いしばし脳神経内科クリニック

※予約無しでも受診可能です

脳神経内科

■脳神経内科とは?
 脳神経内科は脳や脊髄、神経、 筋肉の病気をみる「内科」です。体を動かしたり、感じたりする事や、考えたり覚えたりすることが上手にできなくなったときに脳や脊髄など神経系の病気を疑います。 認知症、脳梗塞、てんかん、パーキンソン病などの神経疾患は脳神経外科と脳神経内科が協力して診療を行なっています。脳神経外科はカテーテルや頭頸部手術などの「外科的な治療」のスペシャリストですが、我々脳神経内科は薬を中心とした「内科的な治療」のスペシャリストになります。
■主な疾患
頭痛には善玉の良性頭痛と悪玉の頭痛があります。ほとんどの頭痛は善玉の頭痛でその場合はどんなに酷くても命に別状はありません。
しかし、脳や身体に病気があって起こる頭痛は悪玉の頭痛であり、命に関わる重大な病気が潜んでいる場合があります。
頭痛は突然のように起こることが多くとても不安な気持ちになります。先ずは、悪玉の頭痛かどうか調べる必要があります。

善玉の頭痛


もっとも多い頭痛のタイプは筋緊張型頭痛で、これは頭皮の下の筋肉が緊張して起こります。ストレスや疲れをきっかけに発症することが多く、たいていは一時的なものですぐ治りますが、場合によっては慢性化することがあります。
片頭痛は血管が拡張することによって引き起こされる頭痛で、若い女性に多く見られる傾向があります。症状の特徴としては、目の奥が痛くなる、吐き気や嘔吐を伴う、閃輝暗点(せんきあんてん、色の付いたギザギザが見える)や視野狭窄(しやきょうさく、見える範囲が狭まる)を伴うことがあります。通常1-3日で収まり、周期性があることが多いです。片頭痛による痛みを抑えるだけでなく、予防薬によって片頭痛の頻度を下げることが出来ます。

悪玉の頭痛


くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎は頭痛で発症する代表的な疾患です。その他にも動脈解離や慢性硬膜下血腫など、頭痛を生じる脳の病気がいくつかあります。

恐ろしいのはくも膜下出血です。脳の血管に動脈瘤(どうみゃくりゅう)という風船のような瘤(こぶ)ができてそれが破裂することにより起こります。約1/3の人が命を落としたり、寝たきりになってしまいます。今まで経験したことのないような激しい頭痛が突然に発症することが多いですが、くも膜下出血を起こす前に警告頭痛といって軽度の頭痛の場合があります。頭痛の程度が軽いと、すぐに病院に行かず見過ごされてしまい、後で大出血して倒れてしまうことがあります。くも膜下出血の原因となる動脈瘤はMRA検査で診断することができます。

脳腫瘍がある場合、頭痛は慢性的でなおかつ徐々に悪化する経過をとることが多いです。目の見え方(視力や視野)の異常、手足の麻痺(まひ)、嘔吐を伴う、意識をなくして倒れたりけいれんを起こしたりするといった症状を伴うことがあります。

悪玉の頭痛を疑う症状にはこのようなものがあります。

突然の激しい頭痛
徐々に悪化する頭痛
手足の麻痺や目の症状、ろれつがまわらない、言葉がでない、めまい、まっすぐ歩けない、けいれん発作、など他の症状を伴う頭痛
血圧が高くなる
脳卒中とは「卒然として中る(あたる)」、突然悪い風にあたって倒れるという意味からきています。突然、脳の血管が詰まったり、切れて出血することによって脳が損傷する病気です。病院に受診する原因疾患(受療率)では、全ての癌患者より多く、心臓の疾患の2倍以上と、日本の国民病と言われています。寝たきりの原因疾患第一位でもあり、脳卒中を予防することがまさに、後遺症のない元気な生活を送ることにつながります。

脳卒中の種類

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分けられます。脳梗塞とは脳の動脈が詰まって血の流れが悪くなり、脳がやられてしまうものです。昔から、脳溢血(のういっけつ)という言葉がありますがそれは「血が溢れる」、つまり脳出血の事です。くも膜下出血は頭痛の項でも説明しましたとおり、脳の血管に動脈瘤ができてそれが破裂することにより起こります。

脳卒中の症状

症状は、脳卒中が起きる場所によって異なりますが、代表的な症状を記します。
片麻痺(半身が動かなくなる)
感覚障害(半身の感覚、特に温度の感覚や痛みの感覚が鈍くなる)
言語障害(ろれつが回らない、言葉が出ない、言葉が理解できない)
ふらつきやめまい(まっすぐ歩けなくなる)
意識障害
視野障害(視野の半分が見えなくなる)

脳卒中の危険因子

脳卒中の危険因子にはこのようなものがあります。
高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、喫煙、過度の飲酒、ストレス
心房細動 (脳塞栓の原因となります)

一過性脳虚血発作
(いっかせいのうきょけつほっさ)

脳卒中の症状が、一時的にでてすぐに改善することがあります。これを一過性脳虚血発作と言います。これは血栓が脳動脈を一時的に閉塞しても何らかの原因で血栓が溶けたり流れることで血管の閉塞が改善して症状が消えるためです。

症状がよくなったからといってそのまま放置する人も少なくないです。脳動脈や頸動脈が動脈硬化で狭窄(きょうさく、狭くなって流れが悪くなっている)している場合や、心臓の不整脈がある場合があります。一過性脳虚血発作は本格的な脳梗塞の前触れであることが多く、すぐに診断して治療を開始する必要があります。

かくれ脳梗塞、かくれ脳出血

症状は何もないし起きたこともなく、本人は全く健康であると自覚している場合でもCT検査や特にMRI検査で脳梗塞や小さな脳出血が見つかる場合があります。一方で、加齢による脳のシミの場合も多いですので、かくれ脳梗塞なのか、かくれ脳出血なのか、治療の必要のない加齢による脳のシミなのか区別する必要があります。

様々な原因で脳の細胞の働きが悪くなったり、死んだりするためにいろいろな障害がおこり、日常生活で支障をきたしている状態のことをいいます。 代表的な症状は、「物忘れ」です。物忘れは、年齢を重ねるごとに誰にでもでてくる症状です。

では、加齢による物忘れと認知症の物忘れの違いは何でしょうか。
加齢による物忘れは、脳の生理的な老化によるもので、程度は軽く忘れる対象は一部に限られますし、ヒントがあれば思い出すことができます。本人に自覚があり、日常生活に支障をきたすことはありません。進行することもありません。加齢による物忘れは、どちらかというと記憶の想起(そうき)力が低下することによって起こります。例えば、「うっかり約束を忘れてしまう」、「鍵をどこに置いたか忘れて探してしまう」「人の名前が思い出せない」などは加齢による物忘れの範囲内です。約束したこと自体や、鍵を置いたことや、人物自体は覚えていて、自分が忘れていることは自覚をしています。
一方で、認知症による物忘れは、脳の神経細胞の急激な破壊により起こるもので、物事全体がすっぽり抜け落ちて、ヒントを与えても思い出すことは出来ません。本人は自覚がなく、進行性で、日常生活に支障をきたしています。記銘力(覚える力)が低下しているので、覚えること自体が出来にくくなっています。少し前の体験でさえ忘れてしまいます。従って、何度も同じことを尋ねるといったことが生じます。特に食事や外出などのエピソード記憶が障害されやすいです。体験の記憶がないので、「約束した覚えはない」「鍵は置いていない」と自覚がなく、人に言われると怒り出したりすることがあります。記銘力(覚える力)は低下していますが、想起力(再生する力)は保たれていますので、昔の記憶はしっかり思い出すことができます。

認知症の原因疾患は、様々ですが代表的な疾患は次のようなものになりますので、検査によって原因を特定して、原因に応じた治療を行います。
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症やパーキンソン病
正常圧水頭症
前頭側頭型認知症
ビタミン欠乏症
甲状腺機能低下症
神経梅毒 など

軽度認知障害(MCI)

普通の人の物忘れは、加齢とともに体験の一部を忘れる頻度が増えても、物忘れにより日常の生活に支障をきたしたりはしません。

しかし、ここで安心する訳にはいきません。認知症ではないけれど、ごく普通の物忘れの人に比較すると、その頻度や程度がひどい人がいます。このような方を「軽度認知障害 Mild Cognitive Impairment (MCI)」と言います。自他共に物忘れがひどいことを認め、記憶に関する心理テストを行うと正常の人より明らかに記憶力が低下しているのですが、日常の生活は問題なく営める人、つまり、加齢による物忘れと、認知症の中間にあてはまるような人をMCIといいます。

疫学調査によりますと、一般高齢者がアルツハイマー型認知症になる確率は年間1~2%であるのに対して、MCIでは年間10~15%とのことです。一般高齢者よりも約10倍アルツハイマー型認知症になる可能性が高いのです。
てんかんとは、脳の神経細胞に突然激しい電気的な興奮が発生することによって引き起こされる発作(てんかん発作)を特徴とする病態です。てんかん発作にはさまざまなパターンがありますが、患者さんは、発作の起こる部位が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。

発作には、けいれんのように手足をガクガクとさせるもの、逆に手足が硬直してつっぱるようなもの、急に動作を止め、顔をボーっとさせるといったものや、辺りをフラフラと歩き回ったり、手をたたく、口をモグモグさせるといった無意味な動作を繰り返すものなどがあります。発作の最中、意識がしっかりしているものもあれば、意識が遠のいてしまう(発作中のことを覚えていない)ものもあります。


原因としては、脳に何らかの障害があるために生じる場合と、画像の検査では異常がみられないにもかかわらず発作が生じるものとに分かれます。治療は抗てんかん薬という脳の興奮を鎮める薬の内服が中心となります。このような原因(画像診断にて行います)と発作のパターン(問診や脳波検査にて行います)から使う薬を決めていきますが、発作のパターンによって使う薬もさまざまです。副作用のチェックや薬の適切な投与量を決めるために定期的な採血も必要となります。

65歳以上の高齢になって新たに発病する「高齢者てんかん」も最近注目されています。脳卒中後や認知症の方で起こす場合がありますが、意識が遠のくものの、けいれんを伴いにくいため「てんかん発作」と分かりにくいタイプです。MRIによる画像診断と、繰り返しの脳波検査(一度だけでは異常が見つかりにくいため)が必要となります。 ※検査は、当院から車で10分ほどの深谷赤十字病院で行っていただきます。
パーキンソン病は「手足が震える」「動作が遅くなる」「筋肉のこわばり」など、脳の異常が原因で運動機能に障害が現れる病気です。症状には、体の片側から出始め、次第に反対側に広がっていくという特徴があり、ゆっくりと進行します。50~65歳で発症することが多く、高齢になるほど発病する確率が高まるといわれ、70歳以上の高齢者に限れば100人に1人(1%)という報告もあります。超高齢社会の現代においてその数は増加傾向にあり、決して稀なご病気ではありません。

パーキンソン病の症状には、脳内物質の減少によって起こるとされる「運動症状」と、それ以外の「非運動症状」の主に2種類があります。

運動症状

代表的な運動症状はこのようなものがあります。
手足の震え
手足のこわばり
倒れやすい
動作が緩慢(遅い)

非運動症状

代表的な非運動症状はこのようなものがあります。
自律神経症状(便秘、排尿障害、発汗異常など)
精神症状(うつ病や幻覚・妄想が現れたりする)
睡眠障害
認知障害
ページトップへ
ページトップへ